1952-1959
ICU図書館は、1953年の大学発足とともに大学本館内に設置されました。
現在にいたるまで大学の本館として使用されているこの建物は戦時中零式戦闘機のエンジンを設計製作していた中島飛行機の三鷹研究所でした。1953年の開学当時にはスチーム暖房も完備されている、大学としては極めて贅沢な建物でした。
1960-1972
1960年に独立した3階建ての建物が米国各派教会とロックフェラー三世からの寄付金を元に現在地に建設されました。設計を担当したのはフランク・ロイド・ライトの助手として帝国ホテル建築に携わり、東京女子大学・聖路加病院など数々の名建築を手がけたアントニン・レイモンド氏です。
コンサルタントとして参加した図書館建築の専門家オコーナー氏、当時の館長高橋たね氏らの努力で産み落とされたこのこの建物は、掘り下げ式による地上3階建てで、最新の図書館理論を取り入れ、まだ閉架式の図書館が主流だった日本の図書館界に初めて全館開架式を導入した図書館として業界の注目を浴びました。
1973-1999
1972年に西側に増築(写真左側半分)が行われ、床面積が約2倍になりました。こうして増設した書架も80年代中頃には満杯となり、以降は倉庫業者に委託保存をしながら運用する事になりました。
1982年、日本で初めて海外の目録システムを利用した整理業務に着手。1983年にはコンピュータを用いた貸出管理を実現。1991年にはOPACを導入するなど常に最先端の技術を取り入れる図書館としてリーダーシップを発揮してきました。
2000-
1999年にコンピュータほかニューメディア機能を装備したミルドレッドトップオスマー図書館が南側に建築され2000年にオープンしました。書架は一切なく、グループラーニングエリア、グループ学習室、カフェなどを擁しています。
旧図書館とはブリッジでつながれており、図書・雑誌とデジタルメディアの融合を実現しており、学生たちの学習・研究の中心的存在です。また、地下には50万冊収納可能な自動化書庫を日本の図書館では初めて導入し、高密度で効率のよい出納を可能にしています。
図書館に保存されていた過去の図書館の写真(1960~70年代)をもとに、2003年と2017に同じアングルから撮影しなおしてみました。
正面玄関
昔の入館機の方がスマートでかっこいいような気がしますね。写真右奥に見えるのはかつてのレファレンスデスクです。初期の写真では柱に沿っていたカウンタが、2003年には張り出しています。その後このデスクは廃止され、2017年の写真では図書展示スペースになっています。
図書館全景(北東より)
図書館全景(南東より)
図書館全景(北西より)
1960年には図書館の周りには樹木はありませんでした。樹木は人間に比べて成長が遅そうですが、50~60年という年月で植物はここまで成長して代謝をし続けているんです。諸行無常を感じますね。
ドキュメントサプライセンター(旧サーキュレーションデスク)
正面玄関を入ったところにある貸出カウンタです。創設当時からアメリカの図書館学の思想とシステムを導入したので、「貸出サービス」ではなく「サーキュレーション」と呼ばれていました。
オスマー図書館にレファレンスサービスセンターが開室したのに合わせて、本・雑誌ほか紙媒体の資料に関わるサービスをする場所としてドキュメントサプライセンターに改称されました。資料と機器の増加に合わせてオフィススペースの拡張のためカウンタが徐々に南側に移動されていった過程が写真から分かりますね。
ドキュメントサプライセンター(旧サーキュレーション)デスク前
釜じいのボイラー室? 漢方薬局の引出し? いえいえ、インターネットのない時代、OPACもない時代に図書館の本を探すために使っていたカード目録が入っていたのです。この角度からもカウンタの移動が良くわかりますね。
レファレンスルーム
レファレンスカウンタ
リーディングテーブル
書架
事務室